3月の古本屋は忙しい

引越しシーズンだからであろう。

今月はいかにも部屋の奥にしまい込んでいた本をごそっと買取に持ってくるお客さんが多い。

買取の査定をしていた時に、あまりに酷い扱いの(汚いし、折れ曲がっていたり)本を持ってきたお客さんに対して、ものすごい怒りを衝動的に感じてしまった。

こんな扱いをする人の本なんて仕入れたくないと思った。

読み潰してボロボロになるのならば美しい。
けれど、そんな愛なんて感じられなかった。

虐待だ。
ふざけるな、とまで心の中で毒づいた。

わたし個人の店だったら、説教したいところだけど、そういうわけにはいかず、あまりに酷い状態のものはお返しし、後のものはクリーニングした。

買取が多い時期は、廃棄も多くなる。

わたしがいま働いているのは、大手チェーンの古本屋のため、1日で何百冊か捨てる。

それを目の当たりにした時はびっくりした。
食料や衣類などはよく聞くけど、本までか、と。

毎日の捨てる本だけで一軒の古本屋が出来ると思う。

在庫過多で、売れ残ったまだ綺麗な本が捨てられるのはとても切ない。

その企業が本をリサイクルするという仕組みをこれだけ日常的にさせた功績は大きいとは思う。

けれど、企業が大型化していく中でいわゆる大量消費の枠組みの中に入ってしまうのだなぁ、と考えもさせられる。

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それはそうと先日、本を拾った。
というか捨ててあった本を救済したのだ。
(その本にはいま働いている店の値段ラベルが貼ってあって苦笑したけど)

なんとなく「拾って」と言われているような気がしたから。
普段は絶対読まないミステリーと詩集というカテゴリー。
せっかくの機会だから読んでみよう。

本との出会いも一つのご縁。


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